いい。
今までで一番いい。
講談社のも「厭魅」も,「シェルター」以外の単行本は全部読んだけど,今回のが一番いい。
相変わらず,何か得体の知れないものが迫ってくる描写は一品だー。途中までの盛り上がりもスゴイ。で,今までのは,これだけ盛り上げてそういう終わり方かい!ってことがあって,ちょっとガッカリしてたのだが,「首無」にはそれがない。
満足ーーーー!!!
さて,寝ようっと。
テーマ:推理小説・ミステリー - ジャンル:本・雑誌
単に品の揃え方が下手糞という哀れなグループは置いておくにしても(まず行かん),豊田市には「何はなくとも通える本屋」というものが非常に少ない。片手の指ほどもない。
自分がまだ制服など着ていた頃,岡崎にミステリ専門書店があった。1階には雑誌やら普通の本もあったのだが,ロフト風の2階へ上がると,ミステリと幻想文学がギッシリ。棚の一段,いや棚一つ,まとめて自分の物にしたいような品揃え。子どもには文庫本くらいしか買えず,それでもいつかはと思っていたが,自分が他県の大学へ行っているうちに閉店した。
その他県にも,マニアックな品揃えの本屋がいくつかあった。バイトの帰りに古書店やらとともに梯子しては,給金使い尽くして帰ったものだった。揃いで3万の専門誌がどうしても欲しくて,古書肆の店長さんにお金が溜まるまで取っておいてって頼んだこともある(悩んでたら取っておこうかって言ってくださった)。
近頃本屋であまりときめかないのは,品揃えが一般向けに平坦になってしまったからなのか,自分の病(趣味)が膏肓に入ってしまって,よりディープでないと満足できないからなのか。
憧れの八重洲ブックセンターでもときめかなかったからなあ。日本で5本の指には入るでしょ,あそこ?名古屋の丸善もなあ(入り口近くの文具コーナーは楽しい)。マナハウスは面白いところもあるけど,店内の配置がウザくて元気なときしか行かない。
学生時代から一日一冊ペース(漫画も含めてだが)を崩したことがなかったのだけれども(目指さずとも自然に),ここ何年かは読書量も減っちゃっててな。自分の本に対する興味が以前より薄まっているのは事実のようだ。
制服〜学生時代のことを思えば,手に入らないうちが花だったのかもね。そう思えば贅沢な話だ。本屋が悪いわけじゃない。
ventusは何だか薄くて嫌いなのだ。場所数稼げばいいでしょっぽくて。観光ガイドが欲しいわけじゃないので嬉しくない。毎回,河童くらい濃ければいいのに。テーマがヤバくて(多分)いまいち突っ込めてなかった時もあったし。
殺人事件の意味なさ加減は相変わらず。沙織のウザさはいい感じに引き締められてたかな。史紋は嫌いなので今後もあまり活躍しないでもらいたい。タタルの領分を侵しそうだし(キャラも専門もかぶってる)。
某文筆家臭がプンプンするのも変わらないが,今回はあまり鼻に付かなかった。あとは薬屋の愚痴でしょう。愚痴だよね。溜まってるのかな,高田センセー。
次も濃いといいな。頻度が下がってもいいから,毎回「百人一首」「河童伝説」レベルで是非お願いしたい。
聖アレキセイ寺院の殺人事件に法水が解決を公表しなかったので、そろそろ迷宮入りの噂が立ちはじめた十日目のこと、その日から捜査関係の主脳部は、ラザレフ殺害者の追求を放棄しなければならなくなった。と云うのは、四百年の昔から纏綿としていて、臼杵耶蘇会神学林以来の神聖家族と云われる降矢木の館に、突如真黒い風みたいな毒殺者の彷徨が始まったからであった。
たまらんでしょう,この冒頭部分。ブームが来る頃は,この部分が頭の中でぐるぐる回るの。
小栗虫太郎は普通に書けばさらっと通るところを,わざわざシチメンドクサくねじくった文体にし,更にペダンティズムとやらで飾り立てるので,やたら読み辛い。
法水はイヤな性格だし,支倉は馬鹿かと思っていると半端に法水の無駄知識についていく捉えどころの無い奴だし,女性キャラはヒステリックに(これまた無駄知識を)喋り捲るし,館内の様子は想像し難いし(悪文と当方の知識不足のせい。実際,建設できない構造らしいが),しかし嫌悪感を覚えない。
計算で作られた萌えシチュとか,パクッて来たようなヒロインとか,あああの映画/本見たのねとすぐに判るような影響出まくりの文体とか,もったいぶりすぎの探偵とか,何がどうでも恋愛ネタを持ち込まなきゃ気がすまないとか,大量に殺しておけばいいと思ってるとか,本が分厚い意味皆無のスカスカな内容とか,そういうのが無いからかも。
まあ古典だからね。売れ筋なんてものも,今ほど小狡くは勘定に入れていないだろうし。そういう「我が道を行く」感が,近頃のミステリには少ないんだ。いつの間にか作品までファンと馴れ合ってる御仁も居られるし。
こないだ買った最新ミステリ「天帝のはしたなき果実」に20ページ目あたりで挫折気味なんだけど,放っておいて黒死館。メフィスト賞ってこれで35作目だっけ?全部読んだわけじゃないけど,凄いと思ったのは「QED」と「UNKNOWN」くらいだぞ。
やっぱり古典のほうが好きかもしれないなあ。天城一とか(絶好調の短編は)最高。海外物もホームズがいいし。科学的におかしいのは置いといて。
しばらくは外出も億劫なことだし,古い物の中に浸っていることにしよう。
黒死館殺人事件は青空文庫で読むことができる。
「二つ枕」とかNHKの「お江戸でござる」とか好きで(あの頃のえなり君をかえせ),同じくアレを見ていたうちの母も,ヒナちゃんと愛称で呼ぶくらい好きで,亡くなったと知った時は悲しかった。
どれを読んでも,女心と江戸の粋と薀蓄がみっしりのヒナちゃん漫画だが,「ゑひもせす」には,ちょっと違う作品が入っているのだ。
「本朝大義考 吉良供養」
吉良上野介邸への赤穂浪士討ち入り当夜の様子を,吉良邸見取り図,死に様など一人一人,時間軸に沿って克明に描かれている。スポットを当てられているのは浪士隊ではない。討たれた吉良邸の人々である。
ところで,吉良上野介と言うくらいで(いや言わんでもいいけど),彼の領地は吉良である(出身は江戸)。愛知県幡豆郡吉良町。小学校の頃ァ,遠足で潮干狩りに行ったもんですよ。
地元だからかどうかはわからないが,自分は忠臣蔵が大嫌いである。結局全員切腹ぅ?知らんがな。それだけのことをしたんだろうがよ。
日向子先生が,どちらかというと,自分に近いスタンスでこの漫画を描いたんじゃないかなあと読めたので,ちょっと嬉しかったのだ。
作品の始めに,こうある。
「大義」が殊更物々しく持出される時人が大勢死ぬ。快挙とも義挙ともはた壮挙とも云われる義士の討入はまぎれもない惨事だと思う。ヒナコ
※ 太字強調は原文ママ(手書き文字)。
最後にも,大義悉くを滅すなんて引用しているあたり,世間の赤穂浪士贔屓を「なんかちがーう」と思って見てらしたんじゃないかと思われる。
ただ,日向子先生のぽわぽわふんわりのあの雰囲気からは,憤りとか感情的なキーッは読み取れず,最初と最後のその文以外は,もう淡々と,順に,誰が屋敷のどこでどう討たれたかの描写が続く(直接的に,口角泡を飛ばす勢いで主張されるよりも,こういうののほうがドキンとするんだけどね)。
先生の淡々に合わせて,自分も「さすが先生」とか「禿同」で,今の感情を表すのはやめようと思う。
地獄へ堕ちろミーハーども!


